【Silver Bladeの物語】 前作曲【Vermilion Crest】 の世界観を踏襲した続編。 「ヴァーミリオン クレスト」とは,「朱の紋章」を指します。 ある城の書庫から見つかった一冊の歴史書。年代を感じさせるものですが,装丁はしっかりしていて本の中央には「朱の紋章」があしらわれていたといいます。 その内容は,世界のあらゆる場所,時代において(時には執筆された時期から考えると未来と推測されるものまで)「歴史が動いた」時に現れた「剣」にまつわる物語が記されています。 現在確認できているものでは, ・王の剣「アランルース」 ・炎の剣「フランベルジェ」 ・怒りの剣「グラム」 ・呪われた剣「ティルフィング」 ・血を啜る剣「ダーインスレイヴ」 ・女神の福音を受けし剣「シルバーブレイド」 (別名「シェイルディーン」) の6種類の剣です。 また,本の中には,剣についてではなく,別のエピソードとしては「ヴァルハラ宮殿の巫女の預言」「封印された剣の物語」についても記されていたのだとか。 今回の演奏は,女神の福音を受けし剣「シルバーブレイド」を描写した曲です。 【I. Holy knight's Fanfare】~ファンファーレ~ 王宮で演奏されるファンファーレ。とある王国での出来事。 王が,国の新しい聖騎士を任命。新たに聖騎士となった若者は,王からある剣を授与される。 曲は,授与式が始まる前の荘厳な雰囲気を,高らかに響くコルネット,テナーホーン,バリトンの三重奏で表現。 【II. Goddess Evangelion】~女神の福音~ 授与式を終えた聖騎士。高揚した気分をおさえながら眠りについたその夜,ある囁きによって目をさます。 古代神語での囁きは,意味はわからずとも頭に直接語りかける不思議な響き。 それは,女神の囁き。 女神は,これからおこる戦の行く末をその聖騎士に伝えに来た。 「心に銀の剣をもつものよ。未来はそなたの内にあらん。」と。 そう,女神の勝利の予言。これこそが「福音」。 曲は,楽章内すべてバリトンの独奏(または二重奏)で「福音」を表現。また,その神秘的な様子をコーラスで彩っている。 【III.The Tempest】~嵐~ 女神の予言通り戦いがおこる。 そして,聖騎士を先頭に戦に赴く軍だが,戦況は思わしくない。互いの兵力も疲弊しこれが最後の戦いというとき。 戦いは熾烈を極めるなか,突然聖騎士の剣がきらめく。 これこそ「女神の福音」の再来。 これによって士気を高めた軍は,相手を一気にねじ伏せ,この戦いに勝利する。 曲は,楽章を通してほとんどが5拍子。 戦いの恐ろしさ,激しさを表現しつつ,突如3 拍子の「女神の福音」の旋律が現れる。 そのまま勢いを増して終結部へ。 【IV. The Triumph】~凱旋~ 戦地に赴いていた一団の帰還。 辛勝ではあったものの,「女神の福音」を受けながら力の限りを尽くしだれもが意気揚々として王都をめざす。 王都では聖騎士達を温かく迎え入れ,王国民のだれもが勝利の美酒に酔いしれた。 曲は,遠くから聞こえる勝利を知らせるコルネットのファンファーレから始まる。 文字通りステージ上を行進し,曲のフィナーレを飾る。 堂々としたトロンボーン,ユーフォニアムのメロディに,コルネットの隊形を生かしたステレオ効果を加え,終曲にふさわしい力強さときらびやかな様子を表現した。 |